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【 更年期障害 】と漢方薬による治療

更年期障害とは


更年期障害は更年期、つまり性成熟期から生殖不能期への移行段階に起こる自律神経失調症状を指します。日本人女性の場合、個人差はありますが45~55歳の10年間で更年期となることが多いです。


更年期障害の原因は卵巣機能の低下にあります。より厳密には卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンの減少によります。ホルモンとは非常に微量でありながら極めて多彩なはたらきを行なう物質です。エストロゲンもその例にもれず、とても多くの働きを担っています。そのようなエストロゲンが急激に減少してしまうことによって起こる不快症状が更年期障害なのです。


更年期障害の症状


更年期障害によって現れる症状は心身両面におよび、非常に個人差の大きいことが知られています。その中でも年期障害の代表的な症状としてはホットフラッシュ(突然起こるのぼせ感と発汗)、動悸、めまい、頭痛、頭や身体の重だるさ、肩こり、体重の増加、皮膚表面の不快感や乾燥、不眠、イライラ感や意欲の低下などが挙げられます。


特にホットフラッシュは更年期障害において最も起こりやすい症状といえるでしょう。これらの症状以外にもエストロゲンは骨形成にも関与しているのでその低下によって骨粗鬆症も起こりやすくなります。


このような更年期障害によって起こる症状はしばしば移り変わり、強弱も変動しやすいことが知られています。それが極端になると患っているご本人も自分にはどのような症状があるのかわからなくなってしまうこともあるほどです。したがって、中年女性の不定愁訴(検査では異常がないのに起こる多くの症状)には更年期障害が関係していることが多いです。


更年期障害の西洋医学的治療法


更年期障害の原因はエストロゲンの低下でしたので、その治療にはエストロゲン補充療法が主に行われます。精神症状が顕著な場合には、さらに精神安定薬も使用されます。エストロゲン補充療法は「減っているものを補う」という非常にシンプルなものですが、その調整はなかなか難しく女性特有の癌(乳癌など)の発生頻度を上昇させてしまう可能性もありますので慎重に行われます。


更年期障害の漢方医学的解釈


漢方医学の古文書である素問(そもん)によると女性は49歳になると妊娠をつかさどる任脈と月経をつかさどる衝脈が弱くなり、天葵(女性ホルモンのような物質)が枯れてしまうと記述されています。素問に記載されている年齢やその記述内容から、古代より更年期の存在が知られていたことがわかります。


人間は加齢とともに身体を構成する気・血・津液が徐々に減少してゆきます。このなかでも気は陰陽論において熱性の陽に分類され、血と津液は冷性の陰に分類されます。陰と陽はそれぞれが依存し合いながら牽制もしています。


体質や病気などによって血と津液が偏って減少してしまうと相対的に気の持つ熱性の存在感が高まってしまいます。この状態こそが更年期障害の原因と漢方では考えます。更年期障害によるホットフラッシュやイライラ感などはこの相対的に高まってしまった熱による症状といえます。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた更年期障害の治療


漢方からみた更年期障害の原因は血や津液の偏った減少でした。したがって、治療には補血や生津を行う漢方薬がもちいられます。くわえてホットフラッシュやイライラ感といった症状が目立つ場合は熱を鎮める生薬も使用されます。


血を補う生薬は補血薬といわれ、具体的には地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などが挙げられます。津液を補う生津薬には麦門冬や天門冬が代表的です。これらを中心にしつつ、黄芩や黄連といった熱を冷ます生薬が症状によって選択されることになります。


更年期障害は気・血・津液のバランスの崩れ方によって現れる症状も異なります。さらに元々の体質は個人によって大きな差があるので、漢方薬も細かく調節することがとても大切になります。


更年期障害の改善例


患者は50代前半の女性・専業主婦。数年前に閉経した頃から日常的なイライラ感に悩まされており、家族にあたることも多くなったと感じていました。その他にも強いホットフラッシュ(ほてり感と発汗)や不眠を中心に貧血による立ちくらみや肌の乾燥なども気になるとのこと。


この方には血を補う地黄を含んだ漢方薬に加えて、気の流れを整える柴胡や薄荷、熱を清める牡丹皮や山梔子などから構成される漢方薬を併用して頂きました。服用して4ヵ月程度が経過した頃からイライラ感と顔のほてりが落ち着いてきたとのこと。調子も良かったので同じ漢方薬を継続することを決め、さらに3ヵ月が経つとほとんどの不快症状は消失していました。


しかしながら、まだ不眠だけが変化なく残っていました。そこで血を補う生薬のなかで睡眠状態を改善する力を持った酸棗仁を含んだ漢方薬に変更しました。それから3ヵ月が経過すると、眠りの浅さも気にならなくなり無事に漢方薬を卒業されました。


おわりに


更年期障害の症状は多彩であり、長きにわたって継続しやすい点などから日常生活への支障は大きいものといえます。ホルモンの補充療法による効果も個人差が多く、コントロールが難しい場合もしばしばです。


漢方薬の場合、更年期障害による身体症状と精神症状を一体的に改善することができます。現れている症状によって微調節も行えることから漢方薬と更年期障害は相性が良いといえます。更年期障害にお困りの方は是非、当薬局へご来局ください。

【 不妊症 】と漢方薬による治療

不妊症とは


不妊症の定義はさまざまですが多くの場合「避妊をせずに性交をしているカップルが1年以上妊娠しない場合」とされています。今日の日本においては5~10組に1組が不妊症というデータも存在し、代表的な「現代病」といえるでしょう。一昔前は不妊症の原因や責任は女性だけにあるという風潮がありました。しかし、現在はご夫婦が一緒に向き合ってゆく問題であると理解され始めています。


したがって、他の病気や体質と違ってご夫婦双方が共通した不妊症に対する理解や治療方針を確立することが重要になります。本項目では主に女性サイドから不妊症を解説してゆきます。男性サイドに関しては別ページである男性不妊症全般をご参照ください。


さらに、不妊症特別サイトも開設いたしましたので本ページと併せてご覧ください。不妊症特別サイトへはこちらになります。


不妊症の原因


不妊症の原因は極めて多岐にわたります。そのなかでも女性側の問題、男性側の問題、そして両者の問題と大きく分けることが可能です。


排卵をコントロールするホルモンの問題

女性側の問題で最も多いのは排卵障害に関連するものです。基本的に卵子は毎月、卵巣から放出されています。しかし、何らかの原因(過労、精神的ストレス、ダイエットなどによる急激な体重減少など)でホルモンによる排卵のコントロールがうまく働かなくなる場合があります。多くの場合、排卵を起こすホルモンである黄体形成ホルモンや卵包刺激ホルモンの分泌不足が見られます。その他にも乳腺刺激ホルモンであるプロラクチンが妊娠していないにも関わらず多い状態(高プロラクチン血症)も排卵を阻害してしまう要因になります。


卵管の問題

卵管は卵巣から排卵された卵子を子宮に運ぶための管です。その卵管が閉塞してしまうと排卵があっても受精することができません。卵管の閉塞は過去に患った感染症、子宮内膜症(子宮腺筋症やチョコレート膿胞の形成も含む)、子宮筋腫、骨盤周辺の手術などで起こることがあります。その他にも子宮外妊娠などで卵管が損傷してしまった場合も卵子が子宮に進みにくくなってしまいます。


子宮頸部の問題

子宮頸部とは子宮下部と膣上部を接続している部分になります。子宮頸部は通常、粘り気の強い粘液で満たされており、異物の侵入を防いでいますが排卵直前になると粘度が低下して精子が子宮に進むことができるようになります。この粘液の粘度が下がらない体質の方は精子が子宮に進めず受精できなくなってしまうのです。


精子の問題

男性の問題はほぼ精子の問題に集約されます。つまり、精液の量が少ない、精液の濃度が低い(精子の量が少ない)、精子の運動が乏しく子宮に進めない、精子に奇形があるといった点が挙げられます。データによって多少変動しますが妊娠には4000万程度の精子数が必要といわれています。より詳しくは男性不妊症全般のページをご参照ください。


年齢の問題

妊娠成功率は女性の加齢とともに減少し、流産発生率は上昇してゆくことが知られています。特に35歳以降はこの現象が顕著に現れます。一方で男性にもこの傾向はみられるものの、女性ほどの影響はないとされています。


具体的に不妊症を患っている方の割合として20~24歳では5%、25~29歳では10%、30~34歳では15%、35~39歳では30%、40~44歳では65%というデータがありますので年齢による影響は大きいといえます。


性交の問題

「そもそも論」になりますが夫婦の間で性交がなければ自然妊娠することはありません。しかしながら、性交痛がある、長時間労働などの影響で夫婦生活に時間が割けない、性欲がわかないなどの理由で十分な性交が行われないケースもあります。


厳密には不妊症からは脱線しますが、男性のED(勃起不全)やセックスレスは軽視できない問題です。ED(勃起不全)についてはこちらのED(勃起不全)のページをご覧ください。


不妊症の西洋医学的治療法


西洋医学的治療法は不妊症の原因によって大きく異なります。まず、ホルモンの問題で排卵が起こらない場合は複数の卵子を刺激して排卵を促す排卵誘発剤(主に性腺刺激ホルモン薬)が使用されることが多いです。排卵誘発剤を用いるとのぼせ、吐気、腹痛、多胎妊娠などの副作用も起こりえることは認識しておく必要があるでしょう。


排卵誘発剤の使用が難しい場合は外科的治療、つまり、人工授精や体外受精も選択肢となります。成功率としては人工授精で約20%、体外受精では約25%、体外受精の一種である顕微授精では約10%といわれています。成功率の低さの要因としては人工的な授精は成功する一方、うまく子宮に着床しないケースが多いようです。


不妊症の漢方医学的解釈


不妊症の漢方医学的原因は多岐にわたりますが、その中心には腎の問題が関わっていることが多いです。腎とは西洋医学的な「腎臓」ではなく、生命の誕生や成長に関与する精が貯蔵され、それに基づいた働きを行う漢方医学的な腎を指しています。


精は今風の表現を借りるならば「生命エネルギーの結晶」のような存在です。私たちが内在している精は両親から受け継いだ精と、主に食べ物を摂取することによって後天的に獲得された精が合わさったものです。この精を消費してゆくことで成長、身体機能の維持、そして生殖活動を行っているのです。したがって、精の不足、漢方医学的には腎虚と呼ばれる状態は身体に多くの影響を及ぼし、そのひとつが不妊症といえます。


精の不足以外にも子宮を栄養する血の不足は不妊症につながります。不足だけではなく血の流れを悪くしてしまう冷えや気の不足によっても子宮を充分に栄養することができなくなり不妊症を引き起こしやすくなってしまいます。このように漢方医学的にも不妊症は複雑に多くの要因が絡み合った結果として現れるものといえるでしょう。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた不妊症の治療法


腎に蓄えられている精の充実が妊娠につながることは既に述べてきたとおりです。したがって、漢方薬を用いて精を補給することが直接的な治療法となります。精を補うことは腎の働きを補うことにもなるのでこれを補腎と呼び、補腎する生薬を補腎薬と呼びます。


具体的な補腎薬には鹿茸や地黄などが挙げられ、主にこれらを含む漢方薬が用いられます。特に鹿の育ち盛りの角である鹿茸は精を補う力が強く頻繁に用いられます。漢方薬ではありませんが黒胡麻、黒豆、きくらげなどの黒い食べ物が精を補う食品として有名ですので積極的に摂るのが良いでしょう。


精を補給するだけではなく子宮を栄養する血を充実させることも非常に重要な漢方薬の役目です。血を補う生薬である補血薬としては地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などがあり、しばしば精を補う漢方薬と併せて使用されます。肝腎同源という言葉があり、肝に蓄えられている血と腎に蓄えられている精は相互変換が可能ということを表しています。つまり、臨床的には精の補充と血の補充は不可分といえます。


その他にも子宮を温めたり血流を円滑にする補気薬(気を補う生薬)も欠かせません。具体的には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などが挙げられます。不妊症の治療に用いられる漢方薬はこれら精や血を補う生薬を中心に気を補う生薬などを配するという形が基本となります。


これら以外にも個人によって体質は異なりますのでそれに合わせて漢方薬を対応させる必要があります。したがって、実際に調合する漢方薬の内容もさまざまに変化してゆきますので、一般の方が自分に合った漢方薬を独力で選ぶのは非常に困難といえるでしょう。


漢方薬を用いた不妊症治療の利点は不妊症以外にも悩まれている症状(代表例として四肢の冷え、むくみ、疲労感、貧血、生理不順など)も併せて根本治療が可能という点です。さらに目立った副作用が無いという点も大きな特徴といえます。なお西洋医学的な治療を行っていても漢方薬を使用することは基本的に可能です。


生活面での注意点と改善案


当薬局にご来局される不妊症の女性のほぼすべてに共通しているのが冷え性(冷え症)です。冷えは血流を悪くしてしまうので子宮の栄養状態が悪くなり不妊症を起こしやすくなります。まずはこれ以上身体を冷やさないようにすることが大切になります。


服装に関しては特に冬の服装、ファッション重視の薄着は問題になりがちです。以前、「ファッションは我慢」という言葉を聞いて妙に納得したことを記憶しています。しかし、金銭面の我慢ならともかく、健康に問題が出てきては我慢している場合ではありません。


しばしば、「生足」「へそ出し」「ノースリーブ」という「冷え性(冷え症)・三種の神器」を携えてご来局される方も多くいらっしゃいます。そうなるといくら漢方薬で対応しても、薬効を相殺されてしまい十分な効果が期待できなくなってしまいます。


まず、冷え性(冷え症)の方は「毛糸の靴下」「下着の上に毛糸のパンツ」「腹巻」という「保温・三種の神器」がお勧めです。その他にもカーディガンや毛布などを持ち歩くと外出時のクーラー対策にもなります。これは夏場の予期せぬクーラーにも有効です。


他にもぬるめのお風呂に長く浸かるといった方法も冷え性(冷え症)には有効です。熱過ぎるお風呂は長く浸かっていられないので結果的には身体の芯まで温まらなくなってしまいますので注意してください。さらにシャワーは身体の汚れを落とすものであり、温めるものではありませんので冬だけではなく夏もしっかりと湯船に浸かることをお勧めいたします。一方で男性の場合、睾丸を含めた生殖器を温め過ぎるのは良くないとされていますので注意が必要です。


それ以外にも長時間労働による疲労の蓄積は精力減退や、夫婦の生活リズムにすれ違いが生じてしまいセックスレスの原因にもなります。なかなか勤務時間を変更するということはできないかもしれませんが、夫婦で家族計画について話し合い、共通理解を持つだけで双方の精神的ストレスは軽減されます。


不妊症の改善例


改善例1

患者は30代前半の女性・会社員。5年前に結婚して順調な夫婦生活がありましたが妊娠できず悩み出した頃、漢方薬を思いつき当薬局にご来局。色白で細身の第一印象。ご本人も「冷え性(冷え症)で疲れやすく、家事と仕事で大変」とのこと。その他にも胃腸虚弱、貧血、めまい、立ちくらみ、頭痛などにも悩まされており、かなり疲労が溜まっているご様子でした。


この方は気の不足から身体を温められず、疲労がそれに拍車をかけて多彩なご症状が出ていると考えました。そこで気を補う人参、黄耆、大棗、白朮、血を補う当帰、身体を温める細辛などから構成される漢方薬を服用して頂きました。


服用から数ヵ月間はなかなか身体に変化がみられませんでしたが、4ヵ月くらいが経過した頃には疲労感や冷えはだいぶ落ち着いていました。この頃になると胃の調子も良くなってきていたので、血や精を増す生薬である地黄と鹿茸を含んだ漢方薬を加えるようにしました。


それからさらに数ヵ月が経過したときに妊娠のご報告が入りました。その後は特に妊娠中毒症や早流産などのトラブルも無く無事に出産されました。現在は仕事にも復帰されて、健康維持のため気血を補う漢方薬を継続して服用されています。


改善例2

患者は40代前半の女性・公務員。数年間、不妊症専門のクリニックで体外受精などの治療を行いましたがうまくいかず、疲れ果てた末にそこでの治療を中止。そのようなときにフッと通りすがりの当薬局にご来局。


お話をくわしく伺うと検査の結果、卵子の状態がおもわしくないとのこと。生理周期も不安定で、基礎体温における高温期が見出せない状態でした。印象としては若干の抑うつ傾向と身体全体から元気が感じられず、長い不妊症治療によるストレスがたたったものと推測しました。

この方にはまず、ストレスを緩和して気の流れを円滑にする柴胡と薄荷、気を増す人参と白朮から構成される漢方薬を服用して頂きました。服用から数ヵ月経過して、落ち込みや寝つきの悪さが徐々に良くなり、笑みもみられるようになりました。良い傾向だと思い少々の微調整を行いながら漢方薬を服用して頂きました。


服用から半年経った頃には乱れがちであった生理も30~35日周期に落ち着き、基礎体温も徐々に二層に分かれてきました。この頃、やや高齢な年齢も考えて精を増す力が強い鹿茸を含む漢方薬を併用して頂くことにしました。


それから数ヵ月後、「また生理周期が乱れたかと思ったら妊娠していました」というご報告が入りました。その後はやや悪阻(つわり)やむくみがつらいということでしたが、母子ともに無事に出産されました。


改善例3

患者は30代後半の女性・デザイナー。20代の頃、生理痛がひどいので婦人科を受診したところ子宮筋腫(ピンポン玉くらいの大きさ)があることが分かりました。手術や低用量ピルには抵抗があり、痛み止めのみを服用することになりました。その後、結婚し妊娠を希望するものの上手くいかず、漢方薬を服用していた友人から当薬局を勧められてご来局。


詳しくご症状を伺うと生理痛の他に少々の生理不順と経血暗色化、血塊も多いとのこと。頭痛や肩凝りもあり顔色もやや暗く唇が青い。これらを総合してこの方は血が滞っており、充分に血が子宮などを栄養できていないと推測しました。そこでまず、血流を改善する生薬(活血薬)である芍薬、川芎、牡丹皮などから構成される漢方薬を服用して頂きました。


漢方薬服用から5ヵ月が経った頃には全体的に体調が好転して顔色も明るい紅色になり、生理痛も徐々に緩和してきました。子宮筋腫の大きさも若干の縮小が見られました。この頃から気と血の両面を補う漢方薬に変更。その後、約半年後に妊娠されました。


妊娠中は大きなトラブルもなく、予定日通りに無事出産されました。現在は疲れると時折、肩凝りや頭痛が出るということで血流を改善する漢方薬を健康維持として服用して頂いています。


おわりに


近年、不妊症でご来局される方がとても多くなった印象を受けます。一部の不妊症は明確な原因が不明とはいっても、やはり晩婚化やストレス社会と呼ばれる今日の世相を反映しているのかもしれません。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。>当薬局にはホルモン薬治療や人工授精・体外受精を行ってもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。元来、不妊症に代表される婦人科系疾患と漢方薬は「相性」も良く、服用を経て無事に妊娠、出産される方が多くいらっしゃいます。是非一度、不妊症でお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 腰痛(坐骨神経痛などを含む) 】と漢方薬による治療

腰痛とは


つらい腰の痛みは老若男女問わず、誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。実際、日本において腰痛は最も多い病気の一つといわれています。しかし、腰痛と一言で表現してもその内容は腰の筋肉の捻挫から疲労骨折まで多彩です。本ページではそのなかでも慢性的に続いている腰痛について解説してゆきます。


腰痛の原因と症状


ここではよく見られる腰痛の原因別に症状の特徴などを解説してゆきます。


姿勢の悪さによって起こる腰痛

机に向かってパソコンを扱う仕事が多い今日の日本において、姿勢の悪さはなかなか避けられないかもしれません。そもそも、良い姿勢とは背骨が縦に緩やかにS字カーブを描いている状態です。猫背や腰が反り過ぎているとS字カーブは描けず、腰椎(背骨の下部、腰のあたりの背骨です)付近の筋肉や靭帯が疲労して痛みが生じてしまいます。


姿勢の偏りや運動不足に起因する腰痛の多くはレントゲンといった画像診断でも異常は発見されません。したがって、西洋医学的な治療は鎮痛効果のある貼り薬の使用といった対処療法に限定されてしまいます。


ぎっくり腰(急性腰痛症)

腰痛で最も有名なのはこのぎっくり腰ではないでしょうか。西洋医学的には急性腰痛症、欧米では「魔女の一撃」とも表現されます。ぎっくり腰は腰を使った急な動き(重いものを一気に持ち上げる、バットを思いっきり振るなど)によって腰の筋肉や靭帯に起こる捻挫とされます。捻挫が起こった部分には炎症が起こり、つらい痛みが発生します。


坐骨神経痛

坐骨神経痛もぎっくり腰と並んで腰痛の代表格といえる存在です。その一方で坐骨神経痛は症状に対する名前であって病名ではありません。坐骨神経痛とはなんらかの原因で坐骨神経が刺激されて起こる痛みの総称なのです。したがって、下記で解説している椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症などを含めた幅広い腰痛をまとめて「坐骨神経痛」と呼称しています。


この坐骨神経とは腰から足にまで続く長く太い神経であり、坐骨神経痛を患うと神経に沿って下肢にしびれや痛み、麻痺などが生じるという特徴があります。つまり、腰のみではなく下半身に幅広く不快症状が現れることになります。


椎間板ヘルニア

腰椎を構成する椎骨(ついこつ)と椎骨の間にはクッション材の役割を担っている椎間板が存在します。椎間板ヘルニアはこの椎間板が何らかの原因で飛び出してしまい、神経を圧迫することで痛みが生じます。


椎間板ヘルニアの特徴としては神経圧迫によって起こる下肢のしびれや麻痺を伴う点です。椎間板ヘルニアはしばしば高齢者の病気と思われがちですが、若い方が重い荷物を急に持ち上げた際などにも起こります。


脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)

脊柱とは簡単にいえば背骨のことです。この脊柱の中には脊柱管という空洞があり、そこには馬尾(ばび)などの神経や靭帯が収められています。狭窄とは狭くなることであり、脊柱管狭窄症は脊柱管の空洞が狭くなって起こる腰痛ということになります。


より詳しく説明すると、主に加齢によって椎間板が弱くなったり、靭帯の弾力性が低下したりすると徐々に脊柱管が狭くなってしまいます。そして、脊柱管が狭くなったことで、そのなかに収められていた神経が圧迫され、痛みが生じるのが脊柱管狭窄症です。椎間板ヘルニアと同じように腰痛だけではなく下肢のしびれや麻痺が特徴です。


腰椎変性すべり症

しばしば略されて「すべり症」と呼ばれます。その名の通り、椎間板というクッション材を挟んで積み上がっている腰椎同士がすべるようにずれてしまう病気です。多くは腰椎が前にすべってしまい、脊柱管内に収められている神経が圧迫されることで腰痛が起こります。脊柱管狭窄症と同様に加齢によって起こりやすくなる腰痛の一つです。


圧迫骨折

加齢によって骨密度が減少する病気を骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といいます。椎骨は特に骨粗鬆症を患いやすく、圧迫骨折が起こりやすい部分とされています。椎骨の圧迫骨折による腰痛は背中の中央部から上にかけて発生しやすい特徴もあります。


腰痛の西洋医学的治療法


西洋医学的な治療はその原因によって大きく異なります。一方、多くの場合において非ステロイド性消炎鎮痛薬の貼り薬や飲み薬が用いられます。上記でも挙げた椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、腰椎変性すべり症などには鎮痛薬を用いて痛みを抑えつつ運動療法で改善を目指します。


下肢のしびれなどの神経障害が顕著な場合は手術が選択されます。骨粗鬆症による圧迫骨折に対しては手術の他にカルシウムやビタミンDを使用して骨形成を促します。


広く用いられている飲み薬の非ステロイド性消炎鎮痛薬、有名なものはロキソニン(一般名:ロキソプロフェン)やボルタレン(一般名:ジクロフェナク)は痛みを取り除く力に優れている反面、胃腸障害の副作用が起こりやすいことが知られています。長期服用している場合は胃潰瘍や十二指腸潰瘍に注意する必要があります。


非ステロイド性消炎鎮痛薬でもセレコックス(一般名:セレコキシブ)、モービック(一般名:メロキシカム)、ハイペンやオステラック(ともに一般名:エトドラク)、異なる分類の解熱鎮痛薬であるカロナール(一般名:アセトアミノフェン)などは比較的、胃腸への負担が少ないといわれています。しかし、負担が無いわけではないので漫然とした長期服用は避けるべきです。


「生活面での注意と改善案」でより詳しく解説しますが、腰痛に対しては適度な運動(特に腹筋を鍛えるような運動)が非常に重要です。過度に腰痛を気にするあまり、横になってばかりいると筋肉が弱まり回復を遅らせてしまうこともあります。


腰痛の漢方医学的解釈


漢方医学的に見ても腰痛の原因はいくつか考えられます。そのなかでも頻繁に遭遇するのが血(けつ)の滞りである瘀血(おけつ)が関与しているもの、うまく利用されていない水分の塊である水湿(すいしつ)が関与しているもの、そして加齢に伴う腎虚(じんきょ)が関与しているものです。


漢方医学的に痛みが起こるメカニズムは、身体の機能維持や活動に不可欠な気や血の流れがせき止められた場合に発生すると考えます。腰痛以外にも生理痛や頭痛などにおいて刺すような鋭い痛みは瘀血が絡んでいることが多いです。他にも腰痛にくわえて高血圧、静脈瘤、多発するアザ、顔色の黒色化などが見られるようならば瘀血の存在が疑われます。


水湿の場合、何らかの原因で水湿が発生してしまうとそれが気や血の流れを悪くして痛みを発生させます。水湿が絡んだ痛みは鈍く重いという特徴があります。しばしば、夏場の高温多湿な状態で悪化する腰痛や関節リウマチなどは水湿が絡んでいるケースが多いです。


そして、腎虚とは現代風にいえば加齢によって起こる諸症状の原因とされます。腎虚になると腰痛以外にも足腰の弱り、下肢の冷え、歩行障害、排尿障害などの症状が引き起こされます。腎虚由来の痛みはマッサージや温めることで一時的に回復しやすい傾向があります。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた腰痛の治療


漢方薬による腰痛の治療は主に瘀血、水湿、そして腎虚の改善を目指すことになります。しかし、多くの場合はこれらが重なり合って痛みを起こしているので特にどの病因が色濃いのか判断し、臨機応変な対応が必要になります。


まず、瘀血によるケースでは血の流れを促す活血薬(かっけつやく)である当帰、桃仁、川芎、牡丹皮、紅花、延胡索などが使用されます。血は気の力によって巡っているので、気の滞りによっても血の流れは悪くなってしまいます。そこで気の流れをスムーズにする理気薬(りきやく)の柴胡、厚朴、半夏、薄荷、枳実、香附子なども併用されます。


水湿が気や血の流れを止めているなら、水湿を除去する利水薬(りすいやく)である白朮、蒼朮、沢瀉、猪苓、茯苓などが使用されます。水湿はしばしば脾胃(消化器)の不調が原因で生まれやすいので、脾胃の状態を向上させる人参、大棗、甘草などの補気薬(ほきやく)も併せて用いられることが多いです。


腎虚による腰痛の場合、腎の力を補う補腎薬(ほじんやく)である鹿茸、地黄、山茱萸、山薬、枸杞子などが用いられます。腎虚による下肢の冷えなどが顕著な場合は身体を温める作用に優れている桂皮、乾姜、細辛、呉茱萸、附子などの散寒薬(さんかんやく)も追加されます。


腎虚に限らず、散寒薬によって患部が温められると瘀血や水湿も取り除きやすくなります。したがって、散寒薬は秋から冬にかけて悪くなる、つまり冷えによって悪化しやすい腰痛にしばしば使用されます。


これら以外にも主訴や体質が微妙に異なる場合はそれに合わせて漢方薬を対応させる必要があります。したがって、実際に調合する漢方薬の内容もさまざまに変化してゆきますので、一般の方が自分に合った漢方薬を独力で選ぶのは非常に困難といえるでしょう。

 


生活面での注意点と改善案


腰痛が発生した直後、つまり急性期は基本的に患部を冷やして安静にすることが基本です。しかし、慢性になった腰痛に関しては患部を温めて軽い運動をすることで症状の緩和に繋がります。


運動の注意点としては腰に負担をかけやすい深くお辞儀をするような、大きく前かがみになる運動(体勢)は避けるべきです。しかし、逆にいえばそれ以外の運動はそれほど問題になりません。むしろ、家事やウォーキングといった軽運動は筋肉が硬直化するのを防ぐためにも積極的に行うべきです。


普段から正しい姿勢を意識することも大切です。直立姿勢の場合、頭が腰より前に出ている猫背の姿勢や、腰が反り過ぎてお腹が出ている姿勢は要注意です。耳、手の指先、かかとが地面に対して垂直に一直線上に並ぶ姿勢を意識しましょう。


机に向かってパソコンなどを使う仕事を長時間する場合、頭部が首の骨の上にまっすぐ「載っている」状態を意識しましょう。頭部が前のめりになると腰痛だけではなくつらい肩凝りの原因にもなります。


腰痛の改善例


改善例1

患者は30代前半の男性・建築士。学生時代は腰痛と無縁の生活を送っていましたが、建築士の仕事を始めた頃から慢性的な腰痛に悩まされてきました。病院を受診しても明確な原因は不明で鎮痛作用のある貼り薬を使用しても症状は緩和されませんでした。


建築士という仕事柄、椅子に長時間座ったままの姿勢が悪いと考えて適度な運動や色々なタイプの椅子を試してみるも効果は出ませんでした。腰痛の症状は徐々に悪化して、30代になった頃には立ち上がるたびに針を刺し込まれたような痛みが出るようになってしまいました。


詳しくお話を伺うと、腰痛以外の症状としては首と肩の凝りや疲労時の頭痛がありました。くわえて「どうしても平日は椅子に座っていることが多いので、休日は散歩に出たりしていますが、長時間歩いたり立っていると腰がつらくなる」とのこと。この方にはまず、筋肉の緊張を取り除く芍薬を中心に血の巡りを改善する牡丹皮や延胡索を含む漢方薬を服用して頂きました。


服用から3ヵ月が経過した頃には以前よりも腰の動かせる範囲が広がりましたが、やはりつらい痛みは残っているとのこと。この頃、建築士として独立開業した頃から腰痛は特に悪化したというお話を伺いました。設計の仕事だけではなく営業や会計などまで一人でやらなければならないことに強いストレスを感じているともおっしゃっていました。


このお話を受けて痛みの原因はストレスによる気の流れの滞りにもある考え、柴胡や枳実といった気の流れを改善する生薬を含んだ漢方薬を併用して頂きました。新しい漢方薬の組み合わせにしてから約4ヵ月がたった頃には痛みは半分以下になり、痛み自体が出る頻度も大幅に減少していました。


痛みが緩和したことでストレスも軽減され、充分な睡眠もとれるようになったことも良い循環に繋がっていると感じました。腰痛だけではなく、首肩の凝りや頭痛を訴えられることも少なくなりました。この方は徐々に気の流れを緩和する漢方薬のみで痛みがコントロールできるようになったので、この漢方薬を柱に現在も服用を継続されています。


改善例2

患者は60代前半の男性・税理士。50代前半に腰椎変性すべり症を発症して以来、腰痛と左足のしびれに悩まされるようになりました。病院の治療で仕事や日常生活を送るうえで問題ない程度まで回復はしましたが、冬になると痛みは強くなりとても辛いという。


詳しくお話を伺うと痛みは冷えによって顕著に悪くなり、温かいお風呂に入ると少し良くなる。それ以外にもしびれと頻尿(特に夜間尿)が目立ち「夕食後から冷たい水分を摂るのは控えているけれども、夜中に2回はトイレで起きる」とのこと。腰は痛みだけではなく重だるさと、他の部位よりも冷えがある。


これらのご症状からこの方の腰痛には腎虚が強く関与していると考えて、腎虚を回復する地黄や鹿茸を中心に身体を温める生薬を含む漢方薬を服用して頂きました。一般的に加齢とともに腎虚の症状は悪化しやすいので、まずは根気強い漢方薬の服用も併せてお願いしました。


漢方薬を服用し始めて4ヵ月が経った頃には下肢の冷えはだいぶ緩和して、厚着をして蒸れることも無くなったと喜ばれました。痛みは依然として残っているとのことでしたが、しびれも含めて回復を感じられるとおっしゃられました。


この年の冬は寒さが厳しかったので身体を温める生薬を追加するなどして微調整を行いました。それからさらに半年強が経過した頃には腰痛の症状が大きく改善し、軽い登山に行けるまでになっていました。夜間尿の回数も明け方の1回だけになり、睡眠も充分にとれているとのこと。しびれ感も下肢の冷えの緩和とともに気にならなくなっていました。


腎虚を回復する漢方薬はいわば「抗老化薬」といえるものなので、この方には強く継続をすすめて現在も季節性も考慮しながら微調節を行いつつ服用して頂いています。腎虚には老化によって起こる諸症状(この方のような腰痛や腰の重み、冷え、頻尿、その他にも体力の低下や視力や聴力の低下など)が含まれているのでそれを回復する漢方薬は、そのひとつで多くの症状を改善することが期待できます。


おわりに


近年、腰痛を患われている方がとても多くなった印象を受けます。特に病院に行っても原因不明で処理されてしまう腰痛が目につきます。やはり長時間労働による運動不足や同じ姿勢のままでいることが主な原因と考えられます。このタイプの腰痛を患っている方の割合は多い一方、西洋医学的な治療が難しいといわれています。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局では西洋薬を服用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしば来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、症状が好転する方がとても多くいらっしゃることから、腰痛と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、腰痛にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む) 】と漢方薬による治療

頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む)とは


頻尿や夜間頻尿に代表される泌尿器系のトラブルは年齢とともに多くなりがちです。男性の場合、前立腺が加齢により大きくなることでうまく排尿ができなくなってしまう前立腺肥大症は生活の質を大きく下げてしまいます。他にも膀胱が緊張して狭くなってしまう過活動膀胱や精神的なストレスによってトイレが近くなってしまう心因性頻尿というタイプの頻尿も存在します。


頻尿とはおおよそ1日に8回以上の排尿があることとされ、夜間頻尿は就寝時に1回以上の排尿がある場合と定義されます。このような定義自体もまた大切な目安ですが、トイレの回数は普通であっても尿漏れが気になったり、残尿感が強かったりと不快感を覚える基準は個人によってさまざまです。


したがって、トイレの回数といった客観的な情報にくわえて主観的な情報をしっかりと捉えて漢方薬の調合につなげる必要があります。補足になりますが頻尿をともなう膀胱炎については 【 膀胱炎(間質性膀胱炎を含む) 】と漢方薬による治療をご参照ください。


頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む)の原因


前立腺は男性特有の器官であり、尿をためている膀胱の真下に尿道をくるむような形で位置しています。この前立腺は男性ホルモンなどのはたらきで肥大化することが知られています。前立腺肥大とは前立腺が加齢とともに大きくなり、尿道を圧迫することで尿の出の悪さによる頻尿や残尿感といった症状が起こる病気です。


過活動膀胱とは膀胱を取り巻く筋肉(膀胱平滑筋)が過剰に収縮してしまう病気です。結果的に膀胱が狭くなってしまうので充分な尿がためられず、頻尿を中心とした症状が起こってしまいます。


心因性頻尿は精神的なストレスを受けたり、特定の状況(出社や登校、プレゼンやテストの前など)などで頻尿が起こってしまう状態です。心因性頻尿の場合、ストレスが引き金になっているので尿検査(細菌の確認)や膀胱の異常などは確認できません。


これら以外にも加齢とともに尿道を締め付ける骨盤底筋が弛緩してしまい頻尿や尿漏れが起こってしまうこともあります。特に女性の場合は尿道が男性と比較して短いので、このタイプの頻尿が起こりやすいといわれています。


頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む)の症状


頻尿と一言で表現してもその内容は個人差があります。頻尿には実際にトイレに行く回数が多くなってしまうだけではなく、クシャミや重いものを持った時などに尿漏れも起こってしまったり、夜間頻尿によって睡眠不足から慢性疲労に陥ってしまうこともあります。


頻尿になってしまうことで日常生活への積極性が低下してしまうのも広い意味で頻尿の一症状と捉えられます。トイレに行くことが心配になってしまい旅行へ行くのを控えてしまうなど外出に後ろ向きになってしまうのは代表的な例といえます。


頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む)の西洋医学的治療法


西洋医学的な頻尿の治療には膀胱の緊張を緩和する薬がもちいられます。膀胱の「壁」である膀胱平滑筋を収縮させるのは副交感神経のはたらきであり、それを抑制する抗コリン薬と呼ばれるものが頻尿治療の主力です。これら抗コリン薬は便秘や口の乾燥を起こしてしまうこともあります。抗コリン薬にくわえて交感神経を刺激することで膀胱の容量を広げる薬も使用されます。


頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む)の漢方医学的解釈


漢方において泌尿器系のコントロールは五臓における腎が担っています。腎は年齢とともに機能が低下し、腎虚と呼ばれる状態になりがちです。腎虚になると頻尿や尿漏れといった泌尿器系のトラブルにくわえて疲れやすさや冷えやすさ、腰痛、身体の乾燥感といった症状が起こりやすくなります。


腎虚以外にも気のトラブルによっても頻尿は起こります。気のはたらきは多彩ですが、そのなかには膀胱に溜まった尿が漏れ出さないように維持するはたらきも含まれています。したがって、気が不足した気虚の状態になると疲労感や食欲不振にくわえて頻尿も起こりやすくなります。精神的なストレスによって気の流れが悪くなると排尿困難や残尿感といった症状が現れやすくなります。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む)の治療


加齢とともに頻尿が顕著になるようなら腎虚を改善する漢方薬が治療の中心となります。頻尿や尿漏れにくわえて腰の痛みや重だるさ、冷え性(冷え症)、肌や眼の乾燥感、聴力や視力の低下などが目立つようなら腎虚が強く伺われます。具体的には地黄、山茱萸、山薬などの補腎薬を多く含む漢方薬が使用されます。


疲れやすさや食の細さといった気虚の症状がみられる場合は気を補う漢方薬が積極的に使用されます。代表的な気を増す生薬(補気薬)としては人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などが挙げられます。日常的にストレスが多い方には気の巡りを改善する生薬(理気薬)である柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などを含んだ漢方薬が検討されます。他にも冷え性(冷え症)が目立つようなら身体を温める生薬も使用されます。


生活面での注意点と改善案


体質的に冷え性があったり、冷やしやすい環境にある方は身体を温めることが大切になってきます。このタイプの方の尿は1回の排尿量が少なく、透明で水のような尿になりやすいです。夏でもお風呂はシャワーで終わらせず、しっかり湯船につかるようにしましょう。衣類は腹部を中心に薄着を避けるのが良いです。


他にも飲み物は利尿効果のあるカフェインを多く含むコーヒー、緑茶、紅茶、栄養ドリンク、くわえてカフェインは含まれませんが利尿効果を持っているアルコール類は摂り過ぎないようにしましょう。特に夕方以降だと夜間頻尿の原因にもなってしまいます。これら以外のものでも冷たいものを摂り過ぎると冷えの原因にもなりますので注意が必要です。


頻尿(前立腺肥大・過活動膀胱・心因性頻尿を含む)の改善例


改善例1

患者は50代後半の女性・スーパーに勤務。50代の前半から頻尿の症状が目立ちはじめ、勤務中に何度もトイレに行くようになってしまったとのこと。数年前からスーパーの生鮮食品を扱う部署に移り、大きな冷蔵庫の近くで働きだしてから頻尿がさらに悪化。帰宅後も頻繁にトイレを往復するようになってしまった。


より詳しくお話を伺うと頻尿にくわえて下半身の冷えとむくみ、冷えることで現れる腰痛、身体の重だるさのご症状もありました。この方にはご年齢や全体のご症状から腎虚と考え、腎の力を底上げする地黄や山茱萸、冷えを取り除く附子や桂皮などから構成される漢方薬を服用して頂きました。


服用から2ヵ月すると冷蔵庫の前ではじっとしていられないほどだった冷えは改善してきました。さらに2ヵ月が経つと1回の尿の出が良くなりトイレの回数は半分ほどになりました。むくみや重だるさも頻尿と歩調を合わせて緩和。その後は季節が冬になり、手先と足先の冷えが気になりだしたということで、身体を温めつつ血行を良くする漢方薬へ変更。変更後も泌尿器の調子は安定しています。


改善例2

患者は30代前半の男性・会社員。もともと緊張しやすい性格とのことですが、社会人となりプレッシャーのかかる場面(グループ内での仕事の進捗発表など)になると動悸と頻尿が強く出るようになってしまったという。徐々に勤務中以外でも尿意が頻繁に現れるようになり、当薬局へご来局。


ご症状を伺ってゆくと頻尿や緊張による動悸を中心に疲労感、吐気と食欲の低下、軟便、眠りの浅さなどがみられました。この方は身長が175cmと長身の割に52kgとやせ形で食の細さはこどもの頃からとのこと。漢方薬は牡蛎や竜骨といった精神状態を安定させる生薬を中心に胃にやさしい形で調合しました。


漢方薬を服用し始めてからすぐに胸や腹部が波打つような強い動悸は起こらなくなりました。3ヵ月くらいが経過すると胃腸の調子も安定して、疲れも依然と比べると感じにくくなったとのこと。一方でまだトイレに行く回数は日中で10回くらいある。漢方薬の変更も検討しましたが、ご本人がとても調子は良いとおっしゃっていたこともあり同じ漢方薬を継続して頂きました。


そして服用開始から半年が経つとより精神状態と体力に余裕が生まれ、それと比例して頻尿も改善してゆきました。夜にトイレへ行くこともなくなり睡眠もしっかりとれるようになったことが疲労回復を後押しした印象です。その後も一歩一歩、頻尿のご症状は緩和してゆき服用から1年が経過する頃には漢方薬を服用しなくても心身が安定した状態となりました。


おわりに


頻尿や尿漏れはその症状自体だけではなく、それに対する不安感によって行動に制限が生じてしまうこともしばしばあります。そうなると積極性も低下してしまい、気の巡りも悪くなって玉突き事故のように新しい症状を起こしやすくなってしまいます。


漢方薬をもちいた頻尿の治療はその原因にくわえて、頻尿によってもたらされる心身全体のトラブルにも対応できます。原因不明、または慢性的な頻尿にお困りの方は是非一度、当薬局へご来局ください。

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