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【 ED(勃起不全) 】と漢方薬による治療

ED(勃起不全)とは


EDは「Erectile Dysfunction」の略で「勃起不全」や「勃起障害」と訳されます。以前はインポテンツ(インポテンス)とも呼ばれていましたが、その訳である「性的不能」が症状にふさわしくないということで、近年はEDと呼ばれるようになってきました。


EDは性交渉をするための充分な勃起が得られない状態や、勃起の維持ができず性交渉ができない状態を指します。このEDも機能性(心因性)勃起障害と器質性勃起障害に大きく分けられます。


機能性勃起障害は本来なら勃起する能力は充分に備わっているのに、主に精神的な理由で能力が発揮されないケースに当たります。新婚EDは機能性勃起障害の代表的な例です。器質的勃起障害は神経や血管に問題があったり、糖尿病、心臓病、うつ病、外傷や手術などの持病によって勃起が起こらない状態を指します。


これらのED以外にも血圧を下げる薬や抗うつ薬の服用によっても勃起不全が起こることが知られています。さらに勃起能力はあり、性交渉も行えるのに膣内射精ができないという状態(膣内射精障害)も広義のEDに含まれます。


ED(勃起不全)の西洋医学的治療法


まずEDの原因によって治療は異なります。機能性(心因性)EDの場合はカウンセリングを中心としたものになります。器質性EDの場合はバイアグラ(一般名:シルデナフィル)、レビトラ(一般名:バルデナフィル)、そしてシアリス(一般名:タダラフィル)のような陰部への血流を促すことで勃起を手助けする薬物療法が行われます。


薬物療法を行う場合は持病や既に服用している医薬品との相性を見て慎重に行う必要があります。したがって、通信販売や個人輸入などで得たED改善薬を自己判断で使用することは避けねばなりません。


ED(勃起不全)の漢方医学的解釈


EDを漢方医学的に見てみると、その病態は大きく二つに分けられます。ひとつは精神的ストレスなどによって肝の力が弱まってしまった場合です。この状態は機能性(心因性)EDに当たります。そしてもうひとつは加齢や強い肉体疲労などによって腎(じん)に蓄えられている精(せい)を消耗してしまった場合です。


まず肝は精神的ストレスに非常に敏感な臓です。肝は通常、気の流れをコントロールしたり筋肉の適切なはたらきを促したりしています。この肝が精神的ストレスなどによって弱まってしまうと、陰茎の筋肉のはたらき、つまりは勃起状態を維持できなくなってしまいます。さらに気の流れが悪くなり併せて血の流れも悪くなると陰部をしっかりと栄養することができなくなり、やはり勃起不全につながります。


そして加齢や強い肉体疲労は腎に蓄えられている精を消耗してしまいます。精は成長、発育、生殖に必須の物質であり、この精が不足してしまうと生殖能力の低下、つまりEDに陥ってしまいます。精は基本的に加齢とともに減少してゆくものです。したがって、加齢とともに精力が弱まってしまうのはある程度はしかたがないといえます。しかし、強い肉体疲労や慢性病、さらに過剰な性行為などで精を余計に消耗してしまった場合は問題となります。


これらの原因以外にも気や血の不足、余分な水分が停滞して水湿(すいしつ)となって気血の流れを妨げているケースなども考えられますので全身的な状態からEDの原因を探ってゆくことが大切です。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いたED(勃起不全)の治療


「セックスを失敗してしまわないか」という不安感などに代表される精神的プレッシャーが顕著な場合は、肝をいたわり気の流れを良くすることが大切です。気の流れをスムーズにする生薬の理気薬(りきやく)である柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子などを含んだ漢方薬が主に使用されます。不安感がより強い方の場合は、より気持ちを鎮める竜骨、牡蠣、酸棗仁、遠志などの安神薬も必要となってきます。


精神的な問題が薄く、肉体疲労などが強い場合は精を補いつつバランス良く気血も補ってゆくことが有効です。具体的に精は鹿茸、気は人参、黄耆、大棗、白朮、甘草、血は地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などが代表的な生薬でありこれらから構成される漢方薬が用いられます。


しかしながら、実際にEDの原因は上記のようにくっきりと線引きできるものではないので、上記のような生薬をバランスよく含んだ漢方薬を使用することが重要となってきます。


ED(勃起不全)の改善例


患者は40代後半の男性・弁理士。数年前に結婚して特に問題なく夫婦生活も営んでいましたが、締め切りに追われるストレスの多い仕事を任されたことがきっかけでED(勃起不全)に陥ってしまったとのこと。病院を受診して治療薬のシアリスも出されましたがうまくいきませんでした。その後は西洋薬を使用するのに抵抗感が強く、漢方薬を試してみようと考えて当薬局にご来局。


詳しくお話を伺うと仕事による精神的・肉体的ストレスが強く、食欲も減退気味。身体の冷えもあり線が細くて見るからに疲労が溜まっている雰囲気でした。さらに40代前半の頃から顕著に体力の低下を感じ、徹夜で仕事をすることは全くできなくなってしまったと嘆息されていました。くわえて、EDになる前はやや早漏傾向があり、その点についても昔から悩んでおられたとのこと。


この方には精液を含む体液が身体から漏れ出すことを防ぐ働きがあり、気持ちを落ち着ける働きもある竜骨、牡蠣などから構成される漢方薬をまず服用して頂きました。漢方薬を服用して3ヵ月程度が経過した頃には気持の不安定さも鎮まり、ぎこちなさはあるとのことですが夫婦生活が営めるようになりました。


その反面、仕事量のさらなる増加から肉体疲労が強いという訴えがあったので、気を補う人参、黄耆、大棗などの生薬から構成される漢方薬に変更。時期的に秋の終わりにさしかかってきたということもあり身体の冷えも気になるということもあったので、身体を温めて、精を補う力に優れている鹿茸製剤も併用して頂きました。


漢方薬を変更してから5ヵ月が経った頃には食欲も増して血色も良くなり、体重も5kgほど増加。体力的にも余裕が出てきたからか以前と同じように夫婦生活が営めるようになりました。漢方薬を服用している間は毎年必ずひいていた風邪にもかからなかったということもあり、現在は疲労回復という意味合いも込めて継続的に漢方薬を服用されています。


おわりに


「ED」という言葉は世界初のED治療薬であるバイアグラの発売と共に一気に「市民権」を得ました。しかしながら、持病などの影響でED治療薬が使用できないケースも見受けられます。そういった場合、漢方薬は貴重な選択肢となるでしょう。


さらに漢方薬はED以外にも同時に精神不安や慢性的な疲労感などより幅広い症状に対応できるものでもあります。漢方薬を服用し始めてから、徐々に上記のような幅広い症状がとれてくることからEDと漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、EDにお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 男性不妊症全般 】と漢方薬による治療

一二三堂薬局と男性不妊症


当薬局では長年、男性不妊症に有効な漢方薬の研究を重ねてまいりました。その主な理由として女性の不妊症と比較し、男性不妊症に対して有効な西洋医学的治療法が確立されていないことが挙げられます。


その一方で精(せい)を補う漢方薬などは男性不妊症に対して有効であることを経験的にも実績面からも知っているからです。このページでは男性不妊症に対する漢方治療について解説させて頂きます。当薬局の情報につきましてはページ上段のアイコン、または下記のリンクをご覧ください。


漢方相談の流れ…当薬局のご来局からアフターフォローについて

漢方薬の価格と種類…粉薬や煎じ薬の解説とそれぞれの価格について

アクセス…JR池袋駅から当薬局までの順路について

一二三堂薬局の漢方薬の安全性…漢方薬の残留農薬や放射性物質への対策について

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男性不妊症とは


不妊症の定義はさまざまですが多くの場合「避妊をせずに性交をしているカップルが1年以内に妊娠しない場合」とされています。今日の日本においては5~10組に1組が不妊症というデータも存在し、代表的な「現代病」といえるでしょう。そのなかでも不妊症の原因が男性側にある場合、男性不妊症といいます。


一昔まで不妊症は「女性の問題」としばしば考えられてきました。しかし、WHOの調査から不妊症の原因を男女別で見てゆくと「男性のみに原因」は約25%、「女性のみに原因」は約40%、「男女両方に原因」は約25%、そして残り10%は原因不明という内訳になっています。このデータから男性が関係している不妊症は半数の約50%にのぼることがわかります。つまり「女性の問題」ではなく、夫婦が協力して解決すべき問題といえるでしょう。


その一方で女性の不妊症の原因が多岐にわたる反面、男性不妊症の原因はほぼ精子の濃度や運動率などに限定されます。それ以外にED(勃起不全)なども挙げられますが本項目では主に精子の問題を中心に扱ってゆきます。EDに関してはED(勃起不全)と漢方薬による治療をご覧ください。


「正常」な精子とは


妊娠に必要な精子の条件、つまり「正常」と定義される精子の条件はデータによって少々変化します。そこで下記ではWHOが「正常値」と定めるデータをみてゆきます。


1)精子量:2.0ml以上

2)精子濃度:2000万/ml以上

3)精子運動率:50%以上(またはより活発に運動する精子が25%以上)

4)精子奇形率:15%未満

5)総精子数:4000万以上が望ましい


上記で紹介した数値はあくまでも「参考値」であり、定義はしばしば変更されることがあるので、神経質にとらえず大まかな理解程度に受け止めていただきたいと思います。実際、当薬局においても総精子数(「精子量×精子濃度」によって得られます)が1500万くらいでも妊娠に至ったケースが数多くあります。


しかし、なかなかイメージしにくい正常な精子の量的かつ質的状態を把握するためには有効なデータです。下記では上記を参照しながら男性不妊症をより細かく分類してゆきます。


男性不妊症の種類


男性不妊症は主に乏精子症、精子無力症、精子不動症に大別されます。
乏精子症は精子の「量的問題」、そして精子無力症と精子不動症は「質的問題」と考えることができます。


乏精子症とは

乏精子症(ぼうせいししょう)とは精子の量(精液の量ではありません)が少なく、自然妊娠が難しい状態を指します。より厳密には総精子数が2000万以下の状態とされますが、量以外にも精子運動率や精子奇形率などもあわせて総合的に判断されます。男性不妊症の中でもこの乏精子症は大きなウエイトを占めています。


より詳しくは乏精子症と漢方薬による治療をご参照ください。


精子無力症と精子不動症とは

精子無力症とは受精するために前進してゆく力の弱い精子が多い状態を指します。さらに精子不動症とはすべての精子が動いていない状態です。両者とも精子がすべて死滅しているわけではありませんが自然妊娠が難しい状況といえます。


より詳しくは精子無力症(精子不動症を含む)と漢方薬による治療をご参照ください。


上記以外の精子の異常

上記で挙げてきた乏精子症、精子無力症、精子不動症以外にも精子の異常は存在します。


無精液症は射精の感覚はあっても精子を含んだ精液が出ない状態であり、精液が膀胱などへ逆流してしまうケースなどを含みます。膀胱へ精子が流れてしまう射精を逆行性射精とも呼びます。


奇形精子症は正常な形態を持った精子が少ない状態です。精子の「しっぽ」に奇形があるとうまく精子が前進できず、頭部に奇形があるとうまく卵子と受精できなくなってしまいます。


精子死滅症は何らかの原因で精液中の精子が死に絶えてしまっている状態です。広義には精子不動症にも含まれます。


さらにこれら以外にも広い意味で膣内にうまく射精ができない射精障害、勃起がうまくゆかないED(勃起不全)が包括される精機能障害も男性不妊症に含まれると考えられます。不妊症の定義からは大きく脱線してしまいますが、セックスレスも見逃せない問題といえるでしょう。


男性不妊症の西洋医学的治療法


男性不妊症の場合、精子の状態によってその治療法が分かれてゆきます。まず薬物療法としてはビタミン剤や血管を拡張して血流を改善する薬などが使用されます。


治療法とはやや異なりますが一部の抗不安薬、睡眠導入薬、降圧薬などは副作用としてED(勃起不全)などの精機能障害が知られています。これらの薬は近年、服用者も増加しており長期間使用する傾向があるものなのでお子様を望まれる場合は意識しておくことが大切です。


男性不妊症に対する治療は人工授精、体外受精、そして体外受精の一種でもある顕微授精などがメジャーといえるでしょう。上記のどの治療法が適しているかは精子の濃度や運動率などを参考に決定されます。一般的に成功率は人工授精<体外受精<顕微授精といわれていますが、費用も後者ほど高額になる傾向もあり総合的な判断が必要となります。


上記にくわえて最近ではTESE(TEsticular Sperm Extraction)と呼ばれる手術も実施されています。しばしば「テセ」と発音されるTESEとは精巣内精子採取術のことであり、外科的に陰嚢から精子を回収する手術です。具体的には陰嚢を切開し、採取した精巣から精子を回収します。TESEの変法として顕微鏡を用いてより入念に精子を探索するMD-TESE (MicroDissection-TESE)、顕微鏡下精巣内精子採取術も存在します。


男性不妊症の漢方医学的解釈


漢方医学的に男性不妊症を考える場合、大切なことは精子の濃度や運動率のような「ミクロの視点」ではなく、身体全体の様子から問題点を見出す「マクロの視点」です。無論、西洋医学的に精子の状態を把握することは漢方医学的にも重要です。しかし、例えば「精子の濃度が低いからこの漢方薬を使用する」というように単純に決定されません。


まず漢方医学的に生殖活動には腎(じん)が深く関わっています。腎とは西洋医学的な「腎臓」ではなく、生命の誕生や成長に関与する物質である精(せい)が貯蔵され、それに基づいたはたらきを行う漢方医学的な腎を指しています。


精は今風の表現を借りるならば「生命エネルギーの結晶」のような存在です。私たちの身体内に存在している精は両親から受け継いだ精と、主に食べ物を摂取することによって後天的に獲得された精が合わさったものです。


この精を消費してゆくことで成長、身体機能の維持、そして生殖活動が行われています。したがって、精の不足、漢方医学的には腎虚と呼ばれる状態は身体に多くの影響を及ぼし、そのひとつが男性不妊症といえます。


精の不足以外にも男性器を栄養する血の不足も男性不妊症につながります。さらに血の不足だけではなく、上記で述べたとおり精は食べ物から後天的に取り入れられるので消化器(漢方医学的には脾胃(ひい)といいます)の調子が悪ければ、この改善も大切です。


補うだけではなく、気や血に滞りがみられる場合はこれらが身体内で円滑に循環できるようにする必要があります。それは気や血はスムーズに流れてこそ本来のはたらきがなされるからです。気は精神的なストレスによってしばしば滞ってしまうので睡眠時間の確保やリラックスは非常に大切です。もし精索静脈瘤がある場合はこれを漢方医学的にも血の滞りと考えて治療してゆきます。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた男性不妊症の治療法


腎に蓄えられている精の充実が生殖活動に欠かせないことは既に述べてきたとおりです。したがって、漢方薬を用いて精を補給することが直接的な治療法となります。精を補うことは腎のはたらきを補うことにもなるのでこれを補腎と呼び、補腎する生薬を補腎薬と呼びます。


具体的な補腎薬には鹿茸や地黄などが挙げられ、主にこれらを含む漢方薬が用いられます。特に鹿の育ち盛りの角である鹿茸は精を補う力が強く頻繁に用いられます。漢方薬ではありませんが黒胡麻、黒豆、きくらげなどの黒い食べ物が精を補う食品として有名ですので積極的に摂るのが良いでしょう。


精を補給するだけではなく男性器を栄養する血を充実させることも非常に重要な漢方薬の役目です。血を補う生薬である補血薬としては上記でも登場した地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などがあり、しばしば精を補う漢方薬と併せて使用されます。


肝腎同源という言葉があり、これは肝に蓄えられている血と腎に蓄えられている精は相互変換が可能ということを表しています。つまり、臨床的には精の補充と血の補充は不可分といえます。その他にも脾胃を立て直す生薬である補気薬も欠かせません。具体的には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などが挙げられます。


男性不妊症の治療に用いられる漢方薬はこれら精や血を補う生薬を中心に気を補う生薬などを配するという形が基本となります。これら以外にも個人によって体質は異なりますのでそれに合わせて漢方薬を対応させる必要があります。したがって、実際に調合する漢方薬の内容もさまざまに変化してゆきますので、一般の方が自分に合った漢方薬を独力で選ぶのは非常に困難といえるでしょう。


生活面での注意点と改善案


男性不妊症において精子のコンディションを整えることは非常に大切です。ここでは日常生活において重要かつ簡単に実践できるポイントを挙げてゆきます。


温度(体温)管理

男性不妊症と女性不妊症で大きく異なるのが生殖器の温度(体温)管理です。女性の場合、下腹部を温めた方が良いのですが男性の場合は陰部を温め過ぎないことが重要とされています。


これは陰嚢内温度が体温より約3℃程度低いときの方が効率よく精子が生まれやすいからです。そもそも陰嚢にヒダが多いのは表面積を広くして、熱を逃がそうとしているからなのです。かといって、無理に冷やし過ぎる必要はなく、あくまでも温め過ぎない程度の認識で問題ないでしょう。


より具体的には熱いお風呂やサウナに長時間入らないことが大切です。さらに同様の理由からパンツはボクサーパンツやブリーフよりも通気性が良くて熱がこもりにくいトランクスが良いでしょう。


煙草とお酒

喫煙が生殖活動において有害というデータは数多く、両者の関連性はほぼ確実とされています。うまく精子と卵子の受精が成立しても流産の確率が高まるという報告もあります。したがって禁煙はまず行うべきことといえるでしょう。


過度な飲酒も禁物です。特に少量の飲酒で顔が赤くなったり気分が悪くなりやすい方は要注意です。お酒が強い方も二日酔いをするような無茶な飲み方は避けるべきでしょう。


陰部への圧力

陰部への過剰な圧力は血流の阻害や体温の上昇に繋がりやすくなります。具体的には長時間の座り仕事、自転車やバイクの運転が挙げられます。本格的な機能性重視のサイクリングウェアは陰部への締め付けが強いので注意が必要です。


休息とストレス

精子は毎日、精巣でつくられています。したがって、日々の生活状況を精子は色濃く受けることになります。精子の状態が良好な方も繁忙期や疲労が蓄積している時期は精子の濃度や運動率が低下することが示唆されています。


しかし、ストレスを受けないように生活することは現実的には非常に困難といえます。したがって、具体的には睡眠時間と休日を確保することが大切となります。


男性不妊症の改善例


患者は30代後半の男性・自営業。結婚後、適度な夫婦生活はありましたが4年が経過しても子宝に恵まれず、奥様が婦人科において健診を受けても特に問題は見つかりませんでした。そこで奥様の勧めもありご主人様も一緒に健診を受けたところ、精子の数と運動率が平均より下回っているとの指摘。診断としては乏精子症とやや精子無力症気味というものでした。


病院からは「自然妊娠はなかなか難しいレベル」と伝えられ、人工授精を数回試みるもうまくゆきませんでした。しかし、その先の体外受精や顕微授精へ進むのに抵抗を覚え一旦保留。ご自身がサプリメントや健康食品が好きだった延長で元々漢方薬にも興味があり服用を決意。当薬局へはご夫婦でご来局されました。


詳しくお話を伺うと奥様の方は軽い貧血と冷え性(冷え症)があるくらいで生理不順や生理痛、子宮筋腫などの婦人科系の異常はなし。ご主人様の場合は上記の精子の問題以外に、下痢傾向と疲労感が顕著にみられました。


そこでまず、ご夫婦で精を補う力が優れている鹿茸のカプセルを服用して頂きました。
そしてご主人様には消化器の力を立て直して疲労感を改善する人参、白朮、大棗などから構成される漢方薬も併用をお願いしました。


漢方薬服用から4ヵ月が経過した頃には奥様の貧血による立ちくらみなどの症状は改善し、ご主人様も食欲が出てきていました。数年来、続いていた下痢や軟便も無くなり体力的にもかなり余裕が出てきたとのこと。


その後、半年間ほど漢方薬を継続して頂いていた段階で奥様が無事に自然妊娠されました。
ご主人様はその後も体力強化のために漢方薬は継続されていました。それから約3年が過ぎた頃には再び奥様が妊娠。第二子出産後は奥様の産後疲れなどに対応する漢方薬も調合。その際はいつも家族四人でご来局されています。


おわりに


一昔前は不妊症の原因や責任は女性だけにあるという風潮がありました。しかし、現在はご夫婦が一緒に向き合ってゆく問題であると理解され始めています。したがって、他の病気や体質と違ってご夫婦双方が共通した不妊症に対する理解や治療方針を確立することが重要になります。


当薬局では男性不妊症の症状が漢方薬の服用によって好転する方がとても多くいらっしゃることから、男性不妊症と漢方薬とは「相性」が良いと実感しています。是非一度、お悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 乏精子症 】と漢方薬による治療

一二三堂薬局と乏精子症


当薬局では長年、男性不妊症、特に乏精子症(ぼうせいししょう)に有効な漢方薬の研究を重ねてまいりました。その主な理由として女性の不妊症と比較し、男性不妊症に対して有効な西洋医学的治療法が確立されていないことが挙げられます。


その一方で精(せい)を補う漢方薬などは乏精子症に対して有効であることを経験的にも実績面からも知っているからです。このページでは乏精子症に対する漢方治療について解説させて頂きます。当薬局の情報につきましてはページ上段のアイコン、または下記のリンクをご覧ください。


漢方相談の流れ…当薬局のご来局からアフターフォローについて

漢方薬の価格と種類…粉薬や煎じ薬の解説とそれぞれの価格について

アクセス…JR池袋駅から当薬局までの順路について

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乏精子症とは


乏精子症とは精子の数が少なく、自然妊娠に至るのが難しい状態といえます。データによって幅がありますが自然妊娠には精子の絶対数が4000万以上が望ましく、乏精子症は精子の濃度が2000万個/ml以下と定義されます。


しかしながら、精子の状態はその濃度や絶対数だけでは判断はできません。妊娠に至るには精子の運動率や奇形率などの要素も重要であり、精子のコンディションを知るためには重要です。精子の数が充分であっても精子の前に進む力が弱かったり、受精に適さない形状だと自然妊娠が成立しにくいからです。


乏精子症の原因


乏精子症の原因は大きく分けて二つ挙げられます。ひとつは精索静脈瘤であり、もうひとつは造精機能障害です。


精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とは

精索静脈とは精子をつくりだしている精巣に到る血管のひとつです。この精索静脈において何らかの原因で血液の逆流が起こり、血管がこぶ状になってしまう病気が精索静脈瘤です。


血液が滞ることによって精巣に熱がこもり、その影響で造精機能が低下してしまいます。したがって精索静脈瘤は広い意味では造精機能障害の原因の一つとも考えることができます。精索静脈瘤は乏精子症だけではなく精子無力症の原因にも繋がります。


造精機能障害とは

造精機能障害とは何らかの影響で精子をつくっている精巣の機能が低下している状態を指します。上記における「何らかの影響」には喫煙のような生活習慣から精索静脈瘤による精巣へのダメージなどが挙げられます。その一方でなぜ造精機能が低下しているのか不明な場合も多いです。


乏精子症の西洋医学的治療法


精索静脈瘤が認められる場合は静脈を結ぶことでこぶを無くす低位結さく術と呼ばれる手術が行われます。しかしながら、精索静脈瘤のような明確な原因がない、またはわからない造精機能障害に対しては確立した治療法が存在しません。そのようなケースでは採取された精子を用いて人工受精などが選択されます。


上記にくわえて最近ではTESE(TEsticular Sperm Extraction)と呼ばれる手術も実施されています。しばしば「テセ」と発音されるTESEとは精巣内精子採取術のことであり、外科的に陰嚢から精子を回収する手術です。


主に重度の乏精子症や無精子症に対して用いたれる手術であり、具体的には陰嚢を切開し、採取した精巣から精子を回収します。TESEの変法として顕微鏡を用いてより入念に精子を探索するMD-TESE (MicroDissection-TESE)、顕微鏡下精巣内精子採取術も存在します。


乏精子症の漢方医学的解釈


漢方医学的に生殖活動には腎(じん)が深く関わっています。この「腎」とは西洋医学的な「腎臓」ではなく、生命の誕生や成長などに関与する精(せい)が貯蔵され、それに基づいたはたらきを行う漢方医学的な腎を指しています。


精は今風の表現を借りるならば「生命エネルギーの結晶」のような存在です。私たちの身体内に存在している精は両親から受け継いだ精と、主に食べ物を摂取することによって後天的に獲得された精が合わさったものです。この精を消費してゆくことで成長と発達、身体機能の充実、そして生殖活動を行っているのです。


加齢や慢性的な疲労、先天的な精の不足によって精の少ない状態、つまり腎虚と呼ばれる状態に陥ります。典型的な腎虚のイメージとしては年齢を重ねることで起こる身体の不調や病気です。具体的には腰痛、視力や聴力の低下、体力の低下、記憶力の低下、身体の冷え、頻尿、脱毛、そして精力の低下や精子のコンディション低下などの男性不妊症全般が挙げられます。


精の不足以外にも男性器を栄養する血の不足も乏精子症につながります。さらに血の不足だけではなく、上記で述べたとおり精は食べ物から後天的に取り入れられるので消化器(漢方医学的には脾胃(ひい)と呼びます)の調子が悪ければこの改善も大切です。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた乏精子症の治療


腎に蓄えられている精の充実が生殖活動に欠かせないことは既に述べてきたとおりです。したがって、漢方薬を用いて精を補給することが乏精子症の最も直接的な治療法となります。


精を補うことは腎の働きを補うことにもなるのでこれを補腎と呼び、補腎する生薬を補腎薬と呼びます。具体的な補腎薬には鹿茸、地黄、山茱萸、枸杞子などが挙げられ、主にこれらを含む漢方薬が用いられます。特に鹿の育ち盛りの角である鹿茸は精を補う力が強く頻繁に用いられます。漢方薬ではありませんが黒胡麻、黒豆、きくらげなどの黒い食べ物が精を補う食品として有名ですので積極的に摂るのが良いでしょう。


精を補給するだけではなく男性器を栄養する血を充実させることも非常に重要な漢方薬の役目です。血を補う生薬である補血薬としては上記でも登場した地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などがあり、しばしば精を補う漢方薬と併せて使用されます。


肝腎同源という言葉があり、肝に蓄えられている血と腎に蓄えられている精は相互変換が可能と考えられています。つまり、臨床的には精の補充と血の補充は不可分といえます。


その他にも脾胃の状態を改善する生薬である補気薬も欠かせません。食欲不振や下痢軟便傾向、慢性的な疲労感が強い場合には積極的に補気薬を含んだ漢方薬も使用されます。具体的には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などを含んだ漢方薬です。


乏精子症の治療に用いられる漢方薬はこれら精や血を補う生薬を中心に気を補う生薬などを配するという形が基本となります。これら以外にも個人によって体質は異なりますのでそれに合わせて漢方薬を対応させる必要があります。したがって、実際に調合する漢方薬の内容もさまざまに変化してゆきますので、一般の方が自分に合った漢方薬を独力で選ぶのは非常に困難といえるでしょう。


生活面での注意点と改善案


生活面での注意点と改善案については男性不妊症全般をご参照ください。基本的には睡眠時間や休日の確保、精巣に対する過剰な熱の回避などが挙げられます。喫煙されている方はまず禁煙が重要です。


乏精子症の改善例


患者は30代後半の証券会社社員。ご結婚されてから3年が経過してもなかなか子宝に恵まれず、ご夫婦で不妊症専門のクリニックを受診。奥様は過去に子宮筋腫で手術した経験もあったので、そちらの状態を心配していたとのことですが結果は問題なし。逆にその際に受けた精子の検査で予想外にも乏精子症と精子運動率の顕著な低下が明らかになりました。


ご夫婦で話し合い、受診したクリニックでまずは人工受精を5回行いましたがうまくいかず体外授精も1回行うも結果は芳しくありませんでした。奥様も仕事をしながらの不妊治療だったので、徐々に疲労も濃くなり一旦は治療を中止。中止している間に何もしないのも…と考えて漢方薬の服用を決めて当薬局へご来局。


詳しくご主人様のご様子を伺うと精子の濃度が500万/mlで運動率が20~15%という状態。自覚症状としては長い勤務時間による慢性的な疲労に加えて腸が弱く軟便気味ということでした。くわえて疲労がたまると身体は疲れているのに目は逆にさえてしまって入眠がうまくできないとのこと。


まず、ご主人様には人参と白朮を中心とした漢方薬と鹿茸製剤を併用して頂きました。その他に禁煙の徹底(奥様の強い要望でもありました)と睡眠時間と休日の確保をお願いしました。


漢方薬服用から3ヵ月が経つと疲労感も軽減して、疲れ過ぎて眠れないという状態が減ってきました。睡眠時間の確保のために接待を何とか「回避」して早めの帰宅もできているのとのこと。


結果的に晩御飯は自宅で摂ることが多くなり、栄養面の改善も疲労回復の後押しになったと考えられました。だいぶ緩和したということでしたがまだ軟便傾向が続いているということで漢方薬は人参と白朮の他に止瀉作用もある蓮肉や山薬を含んだ漢方薬に変更。鹿茸製剤はそのまま維持。


それからまた5ヵ月が経過すると便通も改善し、体力的にはかなり余裕も出てきたご様子でした。体調面が上向く一方でなかなか結果が出なかったので漢方薬の再変更をするか否か、少々悩み出した頃に漢方薬を取りに来られた奥様からご妊娠のご報告を受けました。


奥様はその後、無事に3000gを超える男児をご出産。出産はとても順調だったとのことですが出血が約700mlあったということで、退院後に血を補い体力を回復する漢方薬を1ヵ月ほど服用して頂きました。


ご主人様は漢方薬を服用していると体力的にもお腹の調子も良く、食後の眠気も起きにくくなったということで第一子誕生後も服用を継続されています。早めの帰宅も継続できているようで、繁忙期でも大きく体調を壊すことなく過ごされています。


おわりに


精子は基本的に毎日、精巣でつくられておりその造精活動は日頃の体調などに非常に影響を受けやすいことが知られています。したがって、乏精子症を患っていても睡眠時間の確保や禁煙などの生活習慣の見直しにくわえて、漢方薬の服用で精子のコンディションを向上させることが可能です。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局では西洋薬を使用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから精子濃度や運動率の向上などが見られることから乏精子症をはじめとする男性不妊症と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、乏精子症にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

【 精子無力症(精子不動症を含む) 】と漢方薬による治療

精子無力症(精子不動症を含む)とは


精子無力症とは活発に前進することができる精子が少ない状態を指します。より厳密には動いている精子が50%未満か活発な前進運動をしている精子が25%未満の場合と定義されています。さらにすべての精子が動いておらず、精子が生きているのかどうか見ただけでは確認できない状態を精子不動症といいます。


男性不妊症において乏精子症や無精子症は精子の「量的」な問題でした。その一方で精子無力症や精子不動症は精子の「質的」問題といえるでしょう。精子無力症のように精子がうまく動けないと子宮を通り卵管に至ることができず、卵子と受精することが困難となってしまいます。


精子無力症(精子不動症を含む)の原因


精子無力症や精子不動症の原因は大きく後天的なものと先天的なものに分けられます。後天的な原因としては精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)による造精機能の低下が挙げられます。これは乏精子症と共通した原因であり、外科的治療によって回復が望めます。(詳しくはこちらの「精索静脈瘤とは」をご参照ください)


精索静脈瘤の他におたふく風邪に代表される高熱を伴う病気によって精巣炎を起こしてしまったケースなどが挙げられます。精巣の持つ造精機能は熱に弱いという特徴があるので精巣の炎症だけではなく、前立腺に起こった炎症の影響を受ける場合もあります。


しかしながら、乏精子症などのように精子無力症や精子不動症も特定の原因が不明なケースもしばしばです。精子無力症や精子不動症を引き起こす先天的な原因に関してもなぜ造精機能に問題が生じてしまうのか詳しくは解明されていません。


精子無力症(精子不動症を含む)の西洋医学的治療法


精索静脈瘤のような明確な原因がわかっている場合、その治療が造精機能の回復に結びつきます。特定の原因がわからない場合は採取した精子から運動が活発なものを選び、人工受精や体外受精を行うことが有効となります。精子不動症の場合、まず生存している精子を選び出してそこから顕微授精などを行うケースが多いです。


精子無力症(精子不動症を含む)の漢方医学的解釈


漢方医学的に生殖活動には腎(じん)が深く関わっています。この「腎」とは西洋医学的な「腎臓」ではなく、生命の誕生や成長などに関与する精(せい)が貯蔵され、それに基づいた働きを行う漢方医学的な腎を指しています。


精は今風の表現を借りるならば「生命エネルギーの結晶」のような存在です。私たちの身体内に存在する精は両親から受け継いだ精と、主に食べ物を摂取することによって後天的に獲得された精が合わさったものです。この精を消費してゆくことで成長と発達、身体機能の充実、そして生殖活動を行っているのです。


加齢や慢性的な疲労、先天的な精の不足によって精の少ない状態、つまり腎虚と呼ばれる状態に陥ります。典型的な腎虚のイメージとしては年齢を重ねることで起こる身体の不調や病気です。具体的には腰痛、視力や聴力の低下、体力の低下、記憶力の低下、身体の冷え、頻尿、脱毛、そして精力の低下や精子のコンディション低下などの男性不妊症全般が挙げられます。


精の不足以外にも男性器を栄養する血の不足も精子無力症や精子不動症につながります。さらに血の不足だけではなく、上記で述べたとおり精は食べ物から後天的に取り入れられるので消化器(漢方医学的には脾胃(ひい)と呼びます)の調子が悪ければこの改善も大切です。

(よりくわしい漢方用語などの説明は漢方名処方解説をご参照ください)


漢方薬を用いた精子無力症(精子不動症を含む)の治療


腎に蓄えられている精の充実が生殖活動に欠かせないことは既に述べてきたとおりです。したがって、漢方薬を用いて精を補給することが精子無力症と精子不動症の最も直接的な治療法となります。


精を補うことは腎の働きを補うことにもなるのでこれを補腎と呼び、補腎する生薬を補腎薬と呼びます。具体的な補腎薬には鹿茸、地黄、山茱萸、枸杞子などが挙げられ、主にこれらを含む漢方薬が用いられます。特に鹿の育ち盛りの角である鹿茸は精を補う力が強く頻繁に用いられます。漢方薬ではありませんが黒胡麻、黒豆、きくらげなどの黒い食べ物が精を補う食品として有名ですので積極的に摂るのが良いでしょう。


精を補給するだけではなく男性器を栄養する血を充実させることも非常に重要な漢方薬の役目です。血を補う生薬である補血薬としては上記でも登場した地黄、当帰、芍薬、阿膠、酸棗仁、竜眼肉などがあり、しばしば精を補う漢方薬と併せて使用されます。


肝腎同源という言葉があり、肝に蓄えられている血と腎に蓄えられている精は相互変換が可能と考えられています。つまり、臨床的には精の補充と血の補充は不可分といえます。


その他にも脾胃を立て直す生薬である補気薬も欠かせません。食欲不振や下痢軟便傾向、慢性的な疲労感が強い場合には積極的に補気薬を含んだ漢方薬も使用されます。具体的には人参、黄耆、大棗、白朮、甘草などを含んだ漢方薬です。


精子無力症と精子不動症の治療に用いられる漢方薬はこれら精や血を補う生薬を中心に気を補う生薬などを配するという形が基本となります。これら以外にも個人によって体質は異なりますのでそれに合わせて漢方薬を対応させる必要があります。したがって、実際に調合する漢方薬の内容もさまざまに変化してゆきますので、一般の方が自分に合った漢方薬を独力で選ぶのは非常に困難といえるでしょう。


生活面での注意点と改善案


生活面での注意点と改善案については男性不妊症全般をご参照ください。基本的には睡眠時間や休日の確保、精巣に対する過剰な熱の回避などが挙げられます。喫煙されている方はまず禁煙が重要です。


精子無力症の改善例


患者は30代後半の飲食店経営者(奥様も一緒にお店で共働き)。結婚して4年が経過しても奥様は妊娠に至りませんでしたが、ちょうど仕事の独立など忙しい時期でもあったので「授かりものだから」と考えて特に治療などは行っていませんでした。しかし、仕事も軌道に乗り奥様も30代そこそこになったのを機会に「妊娠活動」を開始。


「妊活」の第一歩として不妊症クリニックを夫婦で受診し、そこで初めてご自身の精子無力症を知ったとのこと。精子の運動率はその後の検査も含めて平均で約18%、精子濃度は約1200万/mlという結果。


クリニックからは人工受精では難しいので顕微授精を勧められましたが一旦保留。ご夫婦で悩んでいた時にご主人のお店に来られていた方が漢方薬で持病を治したという話を聞き、その流れで当薬局へご来局。


ご主人様から詳しくお話を伺うと、少し疲れが残りやすい以外は特に体調面での大きな不安は無いとのこと。しかし、横から奥様がご主人様の喫煙や大酒、足のむくみ、そして軟便気味であることなどを指摘されました。ご主人様の舌の状態を確認すると全体的に白色で、両側に歯の跡が凹状に付いていました。


さらに年に一回の保健所で行われている健康診断の結果「太っているが、軽い栄養失調状態」という注意も受けているという。お仕事柄、お客様とお酒(主にビール)を飲む機会が多いのは仕方が無いけれども帰宅後もお酒を飲んでいて困るとも奥様はおっしゃられていました。


上記のお話や舌の状態などからご主人様はビールなどの冷えたお酒で脾胃(消化器)を冷やしてしまい、水湿(すいしつ)、つまり身体内に余分な水分が溜まっている状態と考えました。冷えや水湿よって脾胃のはたらきが弱り、食べ物から充分な気が取り込めていないことで慢性疲労に繋がっていると判断しました。


ご主人様には人参、茯苓、白朮など脾胃の力を向上させ、水湿を除く漢方薬を服用して頂きました。それに加えて精を補う力に優れている鹿茸製剤も併用して頂くことにしました。お酒に関しても量の削減に加えて、飲むときは温かいお酒にするようお願いしました。


漢方薬服用から2ヵ月が経つと、緩かった便通は正常な硬さとなりました。奥様がお酒を勧めるお客さんに「(主人は)肝臓を壊して酒を止められている」と「牽制」したことも功を奏したのかもしれません。お酒はたまに飲み過ぎてしまうこともあるとのことですが、禁煙は徹底して頂きました。漢方薬は同じ形で維持へ。


漢方薬を始めて7ヵ月が経過した頃に不妊症クリニックで受けた精子の検査の結果、運動率が55%で濃度が2300万/mlにまで改善。クリニックからは顕微授精よりも負担の少ない人工受精を勧められ、治療再開を決断されました。


残念ながら一度目の人工受精はうまくゆきませんでしたが三回目で無事に着床して妊娠が成立しました。その後、妊娠中は薬局にはご来局されませんでしたが、出産後三ヵ月が経ち首が据わった頃に家族三人でご来局されました。やや夜泣き体質に困りながらも健康に成長されているとのことでした。


おわりに


精子は毎日、何億何千万という単位で精巣内において生み出されています。そのような「毎日」生み出されている精子は「毎日」の健康状態にデリケートに左右される存在でもあります。


特に精巣に問題が無いとされる方でも仕事のストレス、睡眠不足、食生活の乱れ、喫煙や飲酒、精巣への熱負担などの要因で精子数が大きく減少することが知られています。それほど精子と日々の健康状態は密接に関連しているのです。


漢方薬は西洋薬では対応しきれないより根本的な原因に対応することができるものです。当薬局ではビタミン剤や様々なサプリメントを使用してもなかなか改善が見られなかった方がしばしばご来局されます。そして漢方薬を服用し始めてから、精子の量や運動率などが改善することから漢方薬は「相性」が良いと実感しています。是非一度、精子無力症や精子不動症にお悩みの方は当薬局にご来局くださいませ。

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