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【バセドウ病・甲状腺機能亢進症】に漢方という選択肢|症例紹介あり

バセドウ病と甲状腺機能亢進症とは|甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気とその状態

甲状腺ホルモンとは、交感神経にはたらきかけて、身体を活性化させる作用を持ったホルモンです。

バセドウ病は甲状腺から甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気であり、自己免疫疾患のひとつです。

甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されると身体がまるでいつも運動をしているような、過活動状態に陥ってしまいます。

甲状腺機能亢進症とは、バセドウ病を含む、何らかの病気で甲状腺ホルモンが多く分泌されている状態を指します。

甲状腺機能亢進症にはバセドウ病以外にも無痛性甲状腺炎や亜急性甲状腺炎なども含まれます。

一方、バセドウ病が占める割合がとても高いので、甲状腺機能亢進症=バセドウ病のように扱われることもあります。

日本においてはバセドウ病という病名が一般的ですが、米国などではグレーブス病(グレブス病)とも呼ばれます。

甲状腺の位置

甲状腺は喉ぼとけの下部に位置しています。呼吸した息が通る気管の前面を覆うように存在しています。

健康診断の際、医師に喉の周りを押すように触診された経験があるのではないでしょうか。

この時、チェックしているのが甲状腺の腫れの有無になります。

興奮とそれによる消耗

甲状腺ホルモンは身体を活性化させるホルモンです。いわば元気の源のような存在です。

甲状腺ホルモンの過剰な分泌は、異常に元気な状態、つまり病的な興奮状態が慢性的に続いている状態といえます。

「元気なら良いのでは?」と思われそうですが、常に興奮が続いてしまうと身体は徐々に消耗してしまいます。

結果的に疲労感に加えて、動悸、発汗、イライラ感などの症状が現れやすくなってしまいます。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の原因|自己免疫疾患について

甲状腺ホルモンの分泌は甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺に存在するTSHレセプターを刺激することで起こります。

早口言葉のようですが、単純にいえばTSHレセプターが刺激されることで甲状腺ホルモンが分泌されるということです。

バセドウ病の場合、TSHレセプターを刺激する抗体がなんらかの原因で生まれてしまい、まるで甲状腺刺激ホルモンのように甲状腺ホルモンの分泌を促してしまいます。

このような、ウイルスや細菌といった外敵ではなく、身体の一部(バセドウ病においてはTSHレセプター)に対して作用してしまう抗体を自己抗体と呼びます。

TSHレセプターを刺激する自己抗体は通常の甲状腺刺激ホルモンのような適切なコントロール(抑制)を受けません。

したがって、過剰な甲状腺ホルモンが分泌されてしまうことになります。

バセドウ病は代表的な自己免疫疾患

バセドウ病のように、本来なら身体を守るはずの免疫系が自己に対して危害を加えてしまう病気を自己免疫疾患と呼びます。

バセドウ病は他の自己免疫疾患(橋本病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群など)と同様に女性、特に30代以上の女性に多いという特徴を持っています。

この点から、バセドウ病の発症は女性ホルモンや遺伝的な要素が絡んでいると考えられています。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の症状

バセドウ病による症状は消耗による疲労感や動悸などに加えて、精神症状も現れる場合があります。

具体的な身体症状としては、疲労感、身体の重だるさ、動悸、息切れ、頻脈、発汗、暑がり(ほてり感)、慢性的な微熱、手足の震え、体重の減少、皮膚のかゆみ、脱毛、口の渇き、便通回数の増加などが挙げられます。

精神症状としては、イライラ、焦り、怒りっぽさ、不眠症などが代表的です。

バセドウ病は目が飛び出す病気?

バセドウ病において特徴的な症状のひとつに、眼球突出が挙げられます。

「眼球突出」とはその名前の通り、眼球が前面に押し出された状態です。

このような症状が起こる理由として、眼球の後ろ側にある組織が甲状腺に似ており、そこを自己抗体が攻撃を行ってしまうためと言われています。

この組織に自己抗体が攻撃を行い、炎症と腫れが起こり、眼球を前に押し出してしまうのです。

一方で眼球突出はバセドウ病を患うと必ず現れるわけではありません。

眼球突出ではなく、目のゴロゴロ感、乾燥感(ドライアイ)、充血、物が二重に見えるといった形で症状が現れる場合もあります。

更年期障害と共通点が多い

バセドウ病の諸症状は更年期障害と似ているものも多いです。

動悸、発汗、のぼせ、倦怠感、イライラ感などが共通する症状であり、40~50代の女性に多いという点も似ています。

結果的に自己判断で更年期障害と思いこみ、バセドウ病が発見されずに放置されることも少なくありません。

漢方薬の場合、もし病名が異なっていたとしても、症状や体質から問題なく調合を行える点は大きなメリットです。

更年期障害については、更年期障害に漢方という選択肢で解説していますので、ご覧ください。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の西洋医学的治療法

バセドウ病の西洋医学的な治療は薬物治療、手術、放射線治療に分けられます。

薬物治療においては甲状腺ホルモンの合成を抑制する薬を服用することによって過剰な交感神経の興奮を抑えます。

薬物治療がうまくいかない場合は手術が選択されます。手術によって甲状腺の一部を切除し、甲状腺ホルモンの生合成を抑えます。

放射線治療は放射線を発生させる特殊なヨード薬を服用します。

このヨード薬が選択的に甲状腺に集まることで、放射線の力によって甲状腺を破壊します。

いわば「人工的に計画性を持った内部被ばく」を行う治療法といえます。

漢方の視点から見たバセドウ病(甲状腺機能亢進症)

漢方医学的にバセドウ病を見ると、主に心肝火旺(しんかんかおう)という状態であると考えられます。

心肝火旺とは精神的ストレスなどによって、五臓六腑における心や肝に熱が発生している状態です。

この「熱」とはあくまで漢方医学における熱という概念であり、体温計で測れる熱を指しているわけではありません。

心肝火旺という病的状態では発汗、暑がり、口の渇き、慢性的な微熱などいかにも「熱っぽい」多彩な症状が現れます。

心や肝の乱れは精神状態を悪化させる

漢方において心や肝は精神状態を安定化させる仕事も担っています。

そこに熱が発生してしまうと、情緒が不安定になり、イライラ感や入眠困難といった精神症状が現れやすくなります。

その他にも心は血を全身に送り出す仕事も行っているので、熱によって動悸や頻脈などが引き起こされます。

過剰な熱は徐々に体力も奪い、疲労感や重だるさ、体重の減少も顕著になってしまいます。

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漢方薬を用いたバセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療

バセドウ病の中心は熱を鎮める漢方薬

バセドウ病は主に心肝火旺によって生まれた熱によって引き起こされる病気と考えられます。

繰り返しになりますが、熱は「発熱」ではなく、あくまでも漢方独自の概念です。

バセドウ病の治療の中心は、この熱を鎮める力を持っている、黄連、黄芩、黄柏、山梔子、知母、石膏などの清熱薬を含んだ漢方薬となります。

ストレスが強い場合のケア

現代において、熱を生み出してしまう原因の一つに精神的なストレスが挙げられます。

バセドウ病の症状に加えて、精神症状が顕著だったり、ストレスの強い環境に晒されている場合は要注意です。

このような方には柴胡、枳実、陳皮、半夏、厚朴、香附子、薄荷、紫蘇などの気の流れをスムーズにする理気薬と呼ばれる生薬を含んだ漢方薬が検討されます。

これらの生薬は気の流れをスムーズにする理気薬と呼ばれ、清熱薬と並んでしばしばバセドウ病の治療に用いられます。

その他にもコントロールできない怒りや入眠困難などの精神症状が強い場合、鎮静効果の高い竜骨、牡蠣、酸棗仁、遠志などの生薬を含んだ漢方薬も使用されます。

特に竜骨や牡蛎は過剰な汗を止める作用もあるので、バセドウ病の治療により適した生薬といえます。

潤いをもたらしクールダウン

地面は強い日光を浴び続けると、徐々に干からびてしまいます。

心肝火旺によって生まれた熱が長引けば、同じように身体にも乾燥症状(肌のかゆみや口の渇きなど)が起こります。

乾燥症状が見られるケースでは熱を取り除きながら、麦門冬、天門冬、地黄などの潤いをもたらす生薬も検討されます。

選択肢の多いバセドウ病治療の漢方薬

バセドウ病の症状は疲労感や動悸などの身体症状からイライラ感や入眠障害などの精神症状まで非常に多彩です。

動悸は無いけれど、ほてりや発汗は強い場合など個人差も大きい病気でもあります。

したがって、病状と体質から適切な漢方薬を用いることが非常に重要です。

治療の進展によって病状は刻々と変化してゆくので、臨機応変に対応することがポイントとなります。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)の改善例

患者は40代前半の女性・保育士。数年前から動悸、のぼせ、焦燥感やイライラ感などに困っていました。

一方で健康には自信もあったので「少し早めの更年期障害がきた」くらいに考えて特に病院にもかかりませんでした。

しかし、徐々に疲労感と息切れまで出るようになり、うまく睡眠もとれなくなってしまいました。

次第に多くなってくる症状に不安を感じ、病院を受診。血液検査の結果、バセドウ病と診断されました。

病院からは甲状腺の一部切除手術を勧められるも抵抗を感じ、甲状腺ホルモンの量を低下させる薬物療法を開始。

薬物療法を始めてからのぼせや発汗は減ってきましたが、時に起こる激しい動悸や寝つきの悪さはなかなか解消されませんでした。

病院の他に不快症状を軽減するためのサプリメントなどを探している際に漢方薬を扱う当薬局を知りご来局へ。

ご来局時に詳しくお話を伺うと、疲労感があるのにしっかりと眠れないのがとても辛いとのこと。

体力的に余裕がなくなってしまったためか、精神的にもやや不安定な印象でした。

この方には熱性症状を鎮めるのに優れている黄芩や大黄、高い鎮静効果が期待できる竜骨や牡蠣が含まれている漢方薬を服用して頂きました。

黄芩と大黄には興奮を抑える働きもあるので竜骨や牡蠣と協同して入眠困難を解消する狙いがありました。

漢方薬を服用し始めて4か月が経過した頃には布団の中で眠れないことに焦りや苛立ちを感じることも少なくなり、疲れている日はすぐに眠れるようになったとのこと。

腹部から胸にかけて突き上げるような動悸が出ることも滅多になくなっていました。

その一方でフルタイムの仕事をしている影響もあり、ややイライラ感が気になるとおっしゃっていました。

そこで気の流れを円滑にして気持ちを落ち着ける柴胡や薄荷を含んだ漢方薬に変更しました。

新しい漢方薬を開始して3か月が過ぎると精神的にも落ち着きを取り戻し、心身ともに安定しているとのこと。

この方はその後もバセドウ病の症状は軽減され、きついシフトの時期でもダウンすることがなくなりました。

漢方薬は季節や体調の変化に合わせながら微調節を行い、現在も服用を継続されています。

バセドウ病の相談は池袋の一二三堂薬局へ

バセドウ病は女性を中心に、意外なほど患っている方が多い病気のひとつです。

現代においてバセドウ病に対する西洋医学的な薬物療法や手術はほぼ確立されています。

しかし、妊娠を希望されているので西洋薬が使用できない方や、西洋薬を服用しても症状が改善しきらない方も少なからずいらっしゃいます。

そのようなケースに漢方薬はとても有効な解決手段となるでしょう。

当薬局には西洋薬を使用してもなかなかバセドウ病の改善が見られなかった方、他にも副作用で服薬が継続できなかった方がしばしば来局されます。

そして漢方薬を服用し始めてから、バセドウ病特有の動悸やイライラ感などの症状が少しずつとれてくることから、バセドウ病と漢方薬は「相性」が良いと実感しています。

バセドウ病にお悩みの方はぜひ、池袋の一二三堂薬局へご相談ください。【執筆・監修:吉田 健吾(薬剤師・一二三堂薬局代表)】

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